鬼滅のばばあとスポーツカー
日常に潜む変な話
毎朝同じ時間に起床し、同じ朝飯を食い、同じスーツに袖を通し仕事へ向かう
そんな代わり映えのしない平日の風景の中にちょっと気になることが僕にはあった。
毎朝会社へ向かうために利用する駅があるのだが、その駅の近くの歩道橋の下に
【奴】はいるのだ
察しの良い方はもう気付いていることだろう
そう、その【奴】こそこの記事のタイトルにある
鬼滅のばばあ
その人である。
背丈はそこら辺によくいるようなBBAと同じぐらいの150cm前後
白髪まじりでボサボサの髪、雑巾のような色した服を着ているおり、片手にはアル中御用達の鬼ころし(パックタイプ)を握りしめている。
鬼ころしを毎日飲んでいることから「鬼滅のババア」と勝手に呼んでいる。朝っぱらから鬼殺て、、
調べたら鬼殺しのアルコール度数は15%もあるらしい。あの悪名高いストロングゼロでさえ9%なのにそれよりもさらに6%も度数の高い酒を毎日毎日胃袋に流し込んでいるのである。
鬼殺しを飲みながら通行人を睨みつけるように凝視しているその姿は正に現代の山姥、または奪衣婆といった様子である。
ある日の仕事帰り
いつも通りの帰路につくなか、最寄りの駅にさしかかった時
いつも朝にしか姿を見せない鬼滅のババアがなぜかいたのである。
相変わらずトレードマークであるストロー刺しの鬼殺しを片手に仕事帰りの通行人を睨みつけていたのだが、その日はちょっと様子が違った
なぜがババアの隣に
めちゃめちゃに真っ赤なスポーツカー
が止まっているのである。
運転席には全身ブランドもので固めたぎらついた男。歳の頃は50代後半といったところである。
そのじじいはババアと親しげな様子で談笑した後、女子席に乗せ高らかにエンジンをふかしてどこかへ走り去っていった。
みすぼらしい姿の「鬼滅のババア」
全身ブランドの「金持ちじじい」
その2人のがあまりにも不釣り合いだったので
ことの成り行きをつい目で追ってしまったのだが
2人の間になにか僕が知らない深い繋がりがあったのかは分からない。
走り去って行ったあのスポーツカーの行先は何処なのか。
そのことがずっと頭から離れない